新しい教育プログラム

徳島大学工学部建設工学科夜間主コース(以下,夜間主コース)では,平成21年度入学生より,新しい教育プログラムをスタートさせます.この教育プログラムでは,「建築」と「防災」をキーワードとしたカリキュラム構成により,今後益々重要となる「災害に強い建築・都市の構築と持続に貢献できる人材」の育成を目指します.そのため,本コースでは,表「徳島大学工学部建設工学科 夜間主コース 専門科目一覧(平成21年度入学生用)」のような建築と防災に関する基礎学力を養うための多くの専門科目を用意しています.

防災の重要性

 日本は災害列島とも言われるほど,大地震,強風,洪水,あるいは高潮等,多くの自然災害に見舞われます.また,四国ならびに近畿地方に大きな被害をもたらすと考えられる南海地震が今後30年以内に50%の確率で発生すると予測されています.このような自然災害から人命と財産を守るためには,われわれの生活を支えている土木・建築構造物(鋼,コンクリート,土,木,等)を強くする必要があります.本コースではこれらの構造物を造ったり補強するために必要な「力学」に関する多くの科目とともに,それらを住民の合意を得ながらより効率的に実施するために必要な「計画」に関する科目,またそれらが環境に及ぼす影響の評価・改善等に関する科目も開講しています.
 このような多くの科目ともう一つの幹である建築科目を学ぶことにより,より幅広い観点から住環境の安全性を考えることができる新時代の防災エンジニアの素養が育成されます.

建築士制度の改正と夜間主コースの対応

 夜間主コースの新教育プログラムでは,建築系科目が大幅に増えました.これは,改正建築士法(平成20年11月)に対応するためです.

 建築士とは,建物の設計,工事監理等を行う技術者資格の一つで,一級建築士,二級建築士,木造建築士の区分があります.安全,安心,快適に利用できる建物を作るためには,建築士が重要な役割を果たします.その建築士に関する法律が建築士法です.建築士になるためには,建築士試験を受験し,合格することが必要です.

 この建築士法が平成20年11月に大きく改正されました.改正前までは,建築または土木系の学科を卒業し,一定期間,建築に関する実務経験を積めば建築士受験資格を得ることができました.しかし,平成21年度以降に入学する者は,国土交通大臣の指定する「指定科目」を履修することが受験資格の一つとして義務づけられました.詳しくは(財)建築技術教育普及センターのサイトを参照してください.

http://www.jaeic.or.jp/

 これに対応するため,徳島大学工学部建設工学科では,指定科目となる建築学に関する科目を夜間主コースに開講し,さらに,従来の土木工学をベースとした防災に関する科目を整理統合することで,新しいカリキュラムを作成しました.この新カリキュラムに含まれる指定科目は,(財)建築技術教育普及センターの認定を受けています.詳しくはこちらをご覧ください.そのため,指定科目を一定数以上修得し,学部卒業後,建築に関する実務経験を積むことで建築士受験資格が得られるようになりました.

夜間主コースを卒業して建築士になるには

(1)指定科目を所定の単位数以上修得して卒業する

 夜間主コースで開講されている科目のうち,(財)建築技術教育普及センターから認定を受けた指定科目は,表「建築士試験指定科目一覧・夜間主コース(平成21年度入学生用)」を,夜間主コースで開講されている専門科目全体は,表「徳島大学工学部建設工学科 夜間主コース 専門科目一覧(平成21年度入学生用)」をご覧ください.
  建築士になるためには,指定科目を所定の単位数以上修得しなければなりません.在学中に修得した単位数は,建築士を受験する際に必要な実務経験年数と関係します.詳しくは表「修得単位数と実務年数」をご覧ください.
  土木工学を主体とする昼間コースでも,一部の科目が(財)建築技術教育普及センターから認定を受けた指定科目となっています.詳しくは,表「建築士試験指定科目一覧・昼間コース(平成21年度入学生用)」をご覧ください.昼間コースで開講されている専門科目全体は,表「徳島大学工学部建設工学科 昼間コース 専門科目一覧(平成21年度入学生用)」をご覧ください.昼間コースの指定科目の中には夜間(18時〜21時10分)に開講される科目も含まれます.

(2)実務経験を積む

 指定科目を修得し,卒業した後,一定期間,建築に関する実務経験を積むことが必要です.詳しくは(財)建築技術教育普及センターのサイトを参照してください.但し,二級建築士,木造建築士は,表「修得単位数と実務年数」にもあるように,修得単位数によっては卒業後,すぐに受験することができます.

(3)建築士の試験を受ける

 建築に関する実務経験を積んだ後,ようやく建築士の試験を受験することができます.
 夜間主コースには,建築士受験資格の学歴要件を満たすことができる指定科目が揃っていますが,他大学の建築学科のように,建築学に関する全ての分野が揃っているわけではありません.また,専門学校のように,建築士試験対策に関する講義は行われません.建築士受験の際には,夜間主コースで学んだ内容に加えて,自分で試験勉強を行うことが必要です.

夜間主コースで学ぶメリット

 最近,全国的に夜間主コースは大変少なくなりましたが,昼間コースにはないメリットもたくさんあります.

(1)昼間コースに比べて半額の授業料,入学料

 平成20年度の場合,夜間主コースでは授業料267,900円(年額),入学料141,000円であり,昼間コース(授業料535,800円,入学料282,000円)の半額です.
※授業料,入学料は改訂されることがあります.また,授業料と入学料以外にも,各種納付金や教科書購入費などが必要です.

(2)第一線で活躍している建設技術者,建築家から学べる

 夜間主コースで開講される一部の講義については,社会の第一線で活躍している建設技術者や徳島を中心に活躍している建築家を非常勤講師として招聘する予定です.

(3)講義は18時以降

 夜間主コースの講義は,平日の18時から21時10分に開講されます.そのため,昼間の時間を自由に利用できます.昼間コースの講義を受講することも可能ですし,建設工学に関連する会社等でアルバイトをすることも実務を知る上で大切な勉強になるでしょう.

(4)昼間コースの授業にも出席することができる

 土木工学を主体とする昼間コースの講義(一部)も履修することができるため,建設工学に関するより広範な知識を身につけることができます.昼間コースの講義は受講するだけでなく,一部を卒業単位に加算することもできます.

(5)大学院への進学も可能

 建設工学に関する,より高度な技術,知識を学びたい学生には,昼間コースの学生と同様に,大学院への進学の道も開かれています.例年,数名の学生が大学院に進学しています.