徳島では,他の地域と同様に,ビオトープの保全・復元を目標に掲げた事業が展開されるようになってきている.今のところビオトープの復元目標におかれている種は,植物や昆虫であることが多い.それらの種の生育・生息は比較的小さい空間で保障されるため,目標としやすいからである.それに対して,体サイズが大きく,また,高次捕食者ともなる鳥類や哺乳類の生息を保障するためには,その餌となる昆虫や爬虫・両生類,魚類の生息が可能な質の高い生態系が地域内に保持されていなければならない.加えて,鳥類や哺乳類は,採餌,休息,営巣等に使う場所がそれぞれに異なっている場合が多いため,それらに適した空間が地域内にほどよく配置されていなければならない.そのためには,地域住民との協同が不可欠である.すなわち,絶滅の危機にあるような高次捕食者が生息可能な生態系を復元することは,ビオトープ復元の究極の目標であり,また,それは環境に配慮した地域づくりを行うことでもある.
コウノトリは,かつては日本の農村に広く生息していたが,有害な農薬の使用,餌生物の減少等の要因によって日本の野生個体は絶滅した.コウノトリが最後まで生息した兵庫県但馬地域では,その野生復帰のためのプロジェクトが,研究者,住民,行政の協働により進められている.今回の講習会では,コウノトリの野生復帰のためのプロジェクトの中で中心的な役割を担っておられる内藤和明氏をお招きし,その実現に向けた取り組みについてお話いただく.この話題を通じて,生態系復元における目標の設定の仕方,その実現のための手法,住民との協働のあり方,問題点を考えることができればと思う.
参加希望者は,氏名,所属,Eメール,電話番号,ファックスを明記のうえ,下記宛EメールかFAXにてお申し込みください.
Eメールでお申込の場合は,「件名」を「第3回技術講習会参加申込」としてください.<申込先>
鎌田磨人(徳島大学工学部建設工学科環境保全工学研究室)宛
Email kamada@ce.tokushima-u.ac.jp FAX 088-656-9134