社会基盤デザインコースの教育理念と目標


1.社会基盤デザインコースの教育理念(目的)と目標

 建設工学は,安全・安心で豊かな市民の暮らしを支え,「美しい国土」,「豊かな社会」の実現のため,様々な社会基盤の整備と自然環境の保全に科学技術や社会技術をもって寄与することを役割としています.したがって,建設技術者には,工学基礎ともに社会基盤を担う建造物の建設技術と自然保全技術に関する知識を有し,問題解決能力,計画・企画力および実行力を身につけ,社会に対する強い責任感や倫理観と高度な説明能力を具備することが求められています.

 

 建設工学科では,本学科の卒業生が日々の学習によりこのような建設技術者に育成されていくことを教育の基本理念として,学部教育では,その基礎となる知識,技術および技術者倫理を習熟させることを教育目標としています.

 

2. 教育理念

 本学の教育ならびに卒業後の生涯学習を通じて次の要素を有する人材を育成することを教育の理念としています.

(1)

社会配慮をもった人格と自発的な学習意欲.

 

自然環境を含む社会的な資産の保全と改善を使命とする技術者としての自覚と,自己研鑽を継続する意欲をもった人材.

(2)

工学基礎科学と建設専門の知識を基礎とした分析力.

 

工学基礎科学と建設工学の知識・知見に基づいて,自然環境と人間社会の現状や将来のニーズを系統的に分析し,内在する課題を的確に抽出できる分析力を持つ人材.

(3)

建設工学の専門知識による問題解決力・創造力と表現力.

 

建設工学分野における専門知識を活用しつつ,技術者として当面する諸問題を合理的に解決する方策を見出し,さらに社会に対してその方針,方法および予想される成果を明快に説明できる人材.

(4)

自然や社会の環境変化に自律的に挑戦し,進取の気風をもって地域や国際社会に関する問題に取り組む創造力.

 

自発的な学習の積み重ねによって,自然・社会環境の変化を認知・理解するとともに,新たな諸問題の解決方法を創造,実行して,地域社会や国際社会の発展に貢献できる人材.

 

3.教育目的

 卒業の時点において獲得あるいは具備しておくべき能力として,次の6項目を設定しています.

(1)

技術者としての社会使命と倫理を自覚し,責任をもって仕事を遂行するために必要な人文社会科学ならびに工学倫理の知識を身につけている.

(2)

自主的な学習を継続する必要性を認識しているとともに,学習法の基本を身につけている.

(3)

建設技術の体系とこれを支える基礎科学について,その基礎を習得するとともに,いくつかの専門分野に関して,実務レベルの初歩的課題・問題を処理・解決できる知識と応用力を有している.

(4)

制約条件と一定時間のもとで,要求された作業を計画的かつ効率的に推進する能力を有している.

(5)

口頭および文書で技術者として論理的に討議・説明できる表現力と語学力を有している.

(6)

社会・自然の変化に対応しながら地域や国際社会に貢献するため,技術の歴史と現状を認識し,諸問題の解決に向けた視点を有している.

 

 

4.社会基盤デザインコースの教育目標

 それぞれの教育目的の到達目標を設定し,教育効果の点検・評価ならびに継続的な教育改善の指針としています.

使命・責任感と倫理観を持っている.

(1)

技術者が人間社会の発展と自然環境の保全に果たすべき役割と責任を理解している. 

(2)

技術が社会や自然におよぼす影響や効果についての知識を理解している.

(3)

技術者がもつべき人命尊重や環境配慮の倫理感について理解している.  

 

自主的な学習意欲や学習能力がある.

(1)

セミナー,実験・演習を通じて自主的な学習方法の基本を身につけている.

(2)

与えられた課題について適切な学習計画を立て,遂行できる. 

(3)

習を支援する機関やツールの効用と活用法について,理解している.

 

建設技術に関連する基礎学問,技術および科学の適正な知識を有し,実務問題に正しく適用できる.

(1)

工学基礎科学として,微積分と代数学を中心とする数学,力学を主とする物理学,化学基礎および情報技術を習得している.

(2)

建設工学の専門基礎科目(構造力学,土質力学,水理学,計画学,材料学,環境学,測量学)について,基本的理論と基本的な演習課題を解ける知識を習得している.   

(3)

建設工学の専門応用科目(構造解析,地盤力学,基礎工法,鉄筋コンクリート工学,建築構造の分野,または,水工学,水環境工学,生態学,都市・交通計画,景観工学の分野)について,基礎理論および応用課題の演習を通じて実務に応用可能な知識を有する.

(4)

建造物設計・維持管理の分野もしくは環境・都市・地域の保全管理の分野について,実験・実習・卒業研究を通じて実務問題の理解と課題演習が解ける知識と応用力を有する. 

(5)

建設業務の計画と実施・マネジメントに関わる実務について知識を習得している.

 

一定の時間と制約のもとで与えられた作業を計画,実施することができる.

(1)

問題を調査,分析,整理するための方法論に関する基礎的知識を有している.

(2)

解決策を発案する能力を身につけ,具現化シナリオを作成することができる.

(3)

プロジェクト・チームにおいて自らの役割を理解できるとともに,チームを運営し成果をつくる作業について,体験・実践を通した認識がある.

 

技術的課題について口頭ならびに文書で効果的に説明・討議できる.

(1)

効果的なプレゼンテーション手法に関する基本的な知識を有するとともに,実践の経験がある.

(2)

口頭ならびに文書による効果的なプレゼンテーションのために必要な日本語表現力を身につけている.

(3)

適正な文章で論理的構成をもったレポートを作成することができる.

(4)

英語で記述された基礎的な文章を読解できる. 

(5)

英語によって日常会話程度のコミュニケーションができる.  

 

技術の歴史と現状を認識し,諸問題の解決に向けた視点を有している.

 

 ●JABEE基準1(a)〜(i)との対応


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